Summary
心不全とは,心臓のポンプ機能が失調し全身の血液循環を保持できなくなった病態を示す.心不全は,心筋梗塞症,心筋症や心臓弁膜症などさまざまな心血管疾患で生じる.最近,マイクロRNA(microRNA;miRNA)は,細胞内に存在する長さ20~25塩基ほどの一本鎖RNAを示し,さまざまな遺伝子の発現を調節する機能を有するまったく新しい遺伝子発現制御にかかわる重要な機能性RNA分子として注目されている.循環器領域でもさまざまなmiRNAが,心不全の発症やその進展にかかわることが報告されている.とくに,いくつかのmiRNAによる標的遺伝子の発現調節が,心筋症の発症や心筋梗塞後の心筋リモデリングと関連し,心筋での間質コラーゲンの増生,心筋細胞肥大やアポトーシス誘導などに関与していることが報告されている.本稿では,心不全の発症やその進展にかかわるmiRNAについて新知見を含めて総説する.
全文記事
マイクロRNAと循環器疾患
心不全とマイクロRNA
掲載誌
血管医学
Vol.12 No.3 69-76,
2011
著者名
佐藤衛
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
再生医療
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
媒体
血管医学
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。