Summary 動脈および静脈血栓では,血栓形成の要因および血栓増大に至るプロセスは大きく異なる. 動脈血栓では血流下における血小板と凝固系の双方の活性化により活性化血小板とフィブリンを主成分とする白色血栓が形成されるのに対し,静脈血栓ではうっ滞した血流条件下における凝固系の異常な活性化によりフィブリンと赤血球を主成分とする赤色血栓が形成される. 筆者らはこれまで血流下における白色血栓形成プロセスを定量的に解析するシステムを構築し,種々の抗血栓薬の単独または併用による血栓増大に対する量・質的な抑制効果を検討してきた. 本稿では,それら結果を紹介しつつ,動脈および静脈血栓における血栓増大に至るメカニズムについて解説する.