Summary
血小板減少と全身性動脈血栓形成を主徴とする血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病因はVWFを特異的に切断するADAMTS13の欠乏であり,その病態解析を通じてADAMTS13-VWFシステムが血管内血栓形成を絶妙に制御していることが明らかとなった.すなわち細小動脈が復害されるとただちに止血を目的としたVWF依存性の血小板粘着ならびに初期相の血小板血栓形成が行われる.しかし,血栓が血管内腔に向かってそのまま成長・増大すると血管閉塞をきたし臓器障害が引き起こされる.しかしADAMTS13が血栓形成により狭小化した血管内腔に生じるきわめて高いずり速度下で活性化されることでVWFを切断し,さらなる血栓形成を抑制することで血管閉塞を回避し,生命維持に必要な血液循環動態が維持されている.
全文記事
新しく解明されつつある血栓の増大と成長の分子細胞機構
血栓の増大・成長とADAMTS13-VWF システム
掲載誌
血管医学
Vol.12 No.2 21-29,
2011
著者名
八木 秀男
/
藤村 吉博
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
血液
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
血液内科
媒体
血管医学
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。