Summary ヒト体細胞は分裂寿命があり,一定の分裂後,細胞老化と呼ばれる分裂停止状態になる.老化した細胞は加齢とともに組織に集積することが知られており,その集積が加齢に伴う臓器の機能障害や,個体老化に関与している可能性がある.また老化細胞では,しばしば炎症性分子の発現亢進がみられることから,このような炎症性の形質変化は加齢に伴う組織の慢性炎症と,それに伴う生活習慣病発症に関与している可能性がある.今後,これらをターゲットにした新たな心血管治療法としての抗老化療法の開発が期待される.