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【RAGE:心血管代謝病の新しい診断・治療標的】
血管平滑筋細胞の形質変換因子としてのRAGEの役割
掲載誌
血管医学
Vol.11 No.1 27-32,
2010
著者名
倉林 正彦
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
高血圧
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糖尿病
/
腎臓
診療科目
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
血管医学
終末糖化産物(advanced glycation end products;AGE)やS100/カルグラニュリン, HMGB1などのRAGEリガンドが, 血管壁細胞(血管内皮細胞や血管平滑筋細胞, マクロファージ)のRAGEに結合すると, ROSの産生, NAD(P)Hオキシダーゼの活性化, PKCの活性化, MAPキナーゼの活性化, Jak2/Statシグナルの活性化, NF-κBの活性化を介して炎症が惹起され, AGEの産生がさらに増加する. それによって, 細胞の酸化ストレスが増加する. 血管平滑筋細胞の形質変換において酸化ストレスは重要であることから, RAGEシグナルは血管平滑筋細胞の形質を変換する役割をもつ. 骨芽細胞への分化を含めて, 血管平滑筋細胞の形質変換誘導シグナルとしてNotchは重要であり, これらのシグナルは動脈硬化の発症, 進展に重要である. 「はじめに」終末糖化産物(advanced glycation end products;AGE)やS100/カルグラニュリン, HMGB1などのRAGEリガンドは, 血管内皮細胞や血管平滑筋細胞, マクロファージ/単球上のRAGEに結合することによって細胞内に活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)を産生させ, MAPキナーゼやNF-κB経路を活性化し, 炎症性サイトカインや接着因子の発現を増強させる1)2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。