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Glaucoma Expert Discussion

緑内障治療点眼薬の副作用を考える

谷原秀信井上賢治齋藤瞳内藤知子

Frontiers in Glaucoma No.56, 17-27, 2018

谷原 失明原因の第1位である緑内障の治療において,唯一エビデンスのある治療は眼圧下降であり,いくつかの大規模スタディからは,眼圧下降1mmHgごとに緑内障リスクは約10%低下すると報告されています1).また,正常眼圧緑内障を対象にしたCNTGS(Collaborative Normal Tension Glaucoma Study)の報告でも,眼圧下降群では無治療群に比べて視野障害の進行が有意に抑制されています2)
眼圧下降治療は,60年代にトラベクロトミー(線維柱帯切開術)やトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)の古典的な術式が完成し,薬物治療としては80年代にβ遮断薬,90年代にプロスタグランジン(PG)製剤と炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)が市場に供されました.21世紀に入り,低侵襲緑内障手術(MIGS)が導入され,薬剤もβ遮断薬を主とした配合剤に続いてα₂受容体作動薬やROCK阻害薬が開発され,治療の選択肢は以前に比べてはるかに幅広くなっています.
緑内障については,早期発見・早期治療・継続治療がQOLおよびQOV(quality of vision)保持のために必要であることはいうまでもありません.しかし,これまでの治療継続率のデータによれば,治療開始3ヵ月で約70%にまで低下しており3),しかも早い段階での脱落が多い傾向にあることから,治療脱落への歯止めが重要です.このアドヒアランスを低下させ,視野障害進行リスクを高める大きな原因は,“有害事象”および“治療に対する患者不満足度”にあります4).緑内障治療に関する患者アンケート調査の結果でも,薬の副作用や使用感,あるいは家族の協力や患者さん自身の病識の問題,さらには経済的な問題など,いろいろな面でネガティブな意見が表明されています5).そこで今回は,継続治療を妨げる要因の一つである緑内障治療点眼薬の副作用に焦点を当てて座談会を行いたいと思います.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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