これからの緑内障診療のために
スクリーニングを考える 第Ⅳ章 これからの緑内障スクリーニング(2)スクリーニングにおける遺伝子検査の可能性
掲載誌
Frontiers in Glaucoma
No.46 39-45,
2013
著者名
間渕文彦
記事体裁
抄録
疾患領域
眼疾患
診療科目
眼科
媒体
Frontiers in Glaucoma
「はじめに」緑内障発症のリスクファクターとして, 臨床的には高眼圧, 近視が挙げられるが, 眼圧上昇, 近視発症のメカニズムについてはいまだ不明な点が多いのが現状である. その他, リスクファクターとして緑内障家族歴があり, 遺伝要因または生活習慣や嗜好が類似しているといった環境要因によって発症している可能性があるわけであるが, これまでの疫学調査も含め, 明らかな環境要因の報告はなく, 少なくとも緑内障発症には遺伝要因が関与していると考えられる. 遺伝子検査による緑内障スクリーニングを行うためには, まず, 緑内障発症および進行に関与していると考えられる遺伝子変化を同定する必要がある. そして, 個々の症例において同定された遺伝情報を検索することにより, 緑内障を発症する可能性や緑内障進行度を予測することが可能となる. 「これまでに報告されている緑内障発症に関与する遺伝子変化」緑内障発症に関与する遺伝子には, 1遺伝子(原因遺伝子)の変異により発症し, 基本的にメンデルの遺伝形式に従う単一遺伝子によるものと, 複数の遺伝子(感受性遺伝子: 疾患を発症しやすくする遺伝子)の多型やCNV(copy number variation)により発症し, 原則的に優性遺伝形式に従わない多因子遺伝によるものがあると考えられる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。