緑内障性視野障害における問題点  昭和24年に制定された身体障害者福祉法では,両眼の視力がそれぞれ0.1以下,一眼の視力が0.02以下で他眼が0.6以下,両眼の視野がそれぞれ10度以内,両眼による視野の2分の1以上が欠損のいずれかに該当しなければ視覚障害者とは認定されず,公的支援を受けることはできない.全国で身体障害者が約300万人いる中で,視覚障害者は約8.3%とされている.視覚障害者の原因疾患として緑内障は,1988年に糖尿病網膜症,白内障に次いで第3番目であったが,2005年には約20%を占め,最多となっている.  緑内障は末期まで中心視力が維持されるため,日本の視覚障害者の認定基準と合致しない.また,緑内障性視野障害は傍中心暗点や鼻側階段に始まり,鼻側穿破を特徴としており,求心性狭窄は稀であることも一つの大きな問題である.さらに視野障害の評価は,ゴールドマン視野計(GP)ではなく,すでに静的自動視野計,特にハンフリー視野計(HFA)が主体となっている.そのため,後期緑内障患者のQOLと静的自動視野計による両眼加算視野を検討し,静的自動視野計を用いた障害認定基準の構築が急務である.