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日本緑内障学会

第21回日本緑内障学会 シンポジウム2:緑内障治療効果の評価 前眼部OCTによる濾過胞の評価

川名啓介

Frontiers in Glaucoma No.41, 39-40, 2011

前眼房OCTの特徴
 緑内障の手術治療で最も高い効果が得られる線維柱帯切除術において,眼圧下降に重要な役割を果たしているのは濾過胞である.濾過胞はさまざまな形態をとり,その評価には前眼部光干渉断層計(OCT)が適している.
 前眼部OCTは操作が容易で,非熟練者でも検査が可能である.また不透明部が可視化されるため濾過胞内部の解析が可能となること,非接触であるため感染が予防できること,水の使用がなく被験者にとっても快適であること,といった利点がある.前眼部OCTによる解析から,濾過胞内部水隙,強膜弁,マイクロシストなど濾過胞内の詳細を把握することができる.また,三次元で抽出しているため,動画で構造を見ることも可能である.

濾過機能と濾過胞の形態

 緑内障に対して線維柱帯切除術を施行した31名36眼を対象に,濾過胞内部水隙の水平径と垂直径および水隙体積,濾過胞壁の最大厚および網状部体積,濾過胞の高さ,強幕弁,流出路,マイクロシストといったOCT関連パラメータと眼圧の関係について検討した.眼圧が30%以上下降した良好群とし,約70%を占めた.全体の可視化率は強膜弁,流出路,マイクロシストともに約90%で,可視化できなかった眼は,ほとんどが眼圧不良群であった(表).

良好群では不良群に比べ,濾過胞の径や壁厚,マイクロシスト数などほぼすべてのパラメータが有意に大きかった.そして眼圧が低いほど,内部水隙体積や濾過胞高は大きく,マイクロシスト数は多いことも明らかとなった.つまり濾過胞内には大きな内部水隙,広範囲な網状部,厚い濾過胞壁,多くのマイクロシストがあることによって,良好な濾過が得られると考えられた.

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