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日本緑内障学会

第21回日本緑内障学会 データ解析委員会特別セッション 無治療時眼圧が正常平均以下の原発開放隅角緑内障(広義)に関する前向きコホート研究 Lower Normal Pressure Glaucoma Study(LNPGS)

吉冨健志

Frontiers in Glaucoma No.41, 34, 2011

 Lower Normal Pressure Glaucoma Study Group(LNPGS)は,ベースライン眼圧が正常平均値以下のNTG患者を対象に,経時的変化を含めた臨床像を明らかにするとともに,視野障害進行に関する眼局所および全身的なリスクファクターを検討することを目的として,登録期間2年,観察期間3年,予定登録患者数約150名で開始された多施設共同前向きコホート研究である.

 しかし,エントリーのための選択基準も除外基準もかなり厳しく,たとえば,選択基準の眼圧に関しては,「両眼とも,眼圧下降剤未使用下,あるいは眼圧下降剤中止後4週間以上経過後,6ヵ月以内の異なる日に測定された5回以上の眼圧のうち,1回の測定を除いて最高値が15mmHg以下」という,いわゆる通常,外来でかなりのスパンをとって無治療で経過観察するような患者を対象に,さらに「エントリー前,またはエントリー後6ヵ月以内に,日中日内眼圧変動(2時間間隔,原則9時,11時,13時,15時,17時)を実施する」ことが求められている.視野障害に関しても,両眼とも,エントリー前3ヵ月以内に信頼性の高い視野検査を2回実施し,その結果,再現性の高い緑内障性視野障害を有し,対象眼のMD値が-15dBより悪化していないことが求められている.
 除外基準においても,最良矯正視力が0.8未満,等価球面度数が-9.0D未満または+9.0D以上,眼圧測定の障害となる角膜障害,レーザー治療の既往やぶどう膜炎,網膜疾患,白内障などの各種眼疾患の合併を除くほか,糖尿病や高血圧を合併したり,眼圧や眼血流に影響する薬剤を服用していたりする場合も除外することが示されている.
 こうしたことから,当初予定されていた登録期間を1年間延長して2年から3年として症例のエントリーに努めている.そして,ようやく80名を超える段階となり,2011年度内にエントリーを終了させる予定となった.なお,2010年9月5日現在,76名(男性33名,女性43名),99眼(右眼46眼,左眼53眼)が手順(表)エントリーされた.

そのうち60名が経過観察(最長経過観察32ヵ月)となっており,すでに9名に視野進行が認められている(図).

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