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The Front Line(研究会/施設紹介インタビュー)

バイオマーカーによる総合的な呼吸機能評価と小児喘息管理

望月博之

International Review of Asthma & COPD Vol.13 No.3, 43-47, 2011

 乳幼児呼吸器疾患におけるバイオマーカーを30 年にわたって研究してきた東海大学医学部専門診療小児科学教授の望月博之先生に,気道炎症と気道障害の違いとそれぞれの評価方法,小児喘息の診療・治療における総合的な呼吸機能評価の有用性を伺った.

小児喘息管理における気道炎症評価の意義

─小児気管支喘息の長期管理を行うにあたり,気道障害だけでなく,気道炎症の評価が重要といわれていますが,それはなぜでしょうか.

望月 細菌やウイルス,大気汚染物質などの刺激によって起こった気道炎症は,急性の症状と気道過敏性を引き起こします.小児では家屋のダニやホコリが気道炎症の主な原因になっており,軽度の炎症であっても,常に原因物質にさらされているため,気道炎症が長く続きます.慢性の気道炎症は気道過敏性をもたらし,刺激によって容易に気道が収縮します.これが喘息の本態だと考えています.そのため,喘息管理には気道炎症を消失させることが重要であり,そのためにも気道炎症の評価が大切です.
─小児において気道炎症はどのように評価されてきたのですか.
望月 気道炎症という言葉が臨床で身近に用いられるようになったのは2000年以降で,それ以前は気道炎症の測定は容易にできませんでした.しかし,気道炎症が慢性的にあれば気道障害は起こりますから,気道障害を気道炎症の間接的な指標として代用してきました.小児でもリモデリングがあるとの認識が広がったのもここ10年程です.リモデリングはいわば「焼け跡」であり,火がなくなっても焼け跡は残ります.つまり,気道炎症がなくなっても気道障害は残ります.また,気道障害まで至らず,気道炎症だけが認められることもあります.気道障害と気道炎症が混同されることがありますが,気道炎症と気道障害は,相関することもありますがイコールではありません.本来は両方とも評価する必要があるのです.
─小児の呼吸機能の評価は難しいのでしょうか.
望月 気道障害の検査には肺機能検査や気道過敏性の測定が含まれますが,低年齢の小児では最大吸気,最大呼気ができませんので,通常のスパイログラムは不可能です.また小児では痰をなかなか出せないため喀痰の採取は難しく,気道過敏性を測るアストグラフも10~15分間かかるので低年齢の小児は無理です.以上のように,呼吸機能の測定の必要性はあったものの,実際には困難でした.

気道炎症の評価にバイオマーカーを導入

─近年,バイオマーカーを使った新しい評価法が開発されていると聞きましたが.
望月 気道炎症の程度を直接示すことができる呼気一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide;FeNO)測定が注目されています.私も5年ほど前からFeNOを測定していますが,非常にレスポンスが良く,患児の「今」を測るのに非常に適したパラメーターです.気道上皮に炎症があれば,そこでNOを発生させる酵素が産生されて,NO濃度は上昇します.治療すればFeNOは低下しますので,炎症があるかどうかがすぐに把握できます.本学ではFeNO測定にオンライン法とオフライン法の両方を使っており(図1),携帯用の小型測定装置も用いています.

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