はじめに
白癬は,皮膚糸状菌によって生じる皮膚感染症である.トリコフィトンは白癬の原因菌の一つであり,気管支喘息の原因となることは以前より報告されていたが1-4),今まではとくに,白癬患者における喘息発症および増悪における関与が指摘されてきた.例えば,Wardらは,白癬を合併した重症喘息患者で,かつトリコフィトン抽出液に対する皮膚反応陽性の10人に対し,トリコフィトン抽出液で気管支誘発反応を行ったところ,陽性反応を示し,トリコフィトンが白癬患者の喘息病態に強く関与することを報告した1).さらに白癬を合併した喘息患者11人にフルコナゾールを内服させたところ,皮膚症状だけでなく,トリコフィトンに対する気管支誘発反応も軽減したことを報告した2).したがって白癬合併喘息患者においては,トリコフィトン感作の可能性を念頭に置くことが日常診療で重要と考えられてきた.
しかし,白癬非合併患者において,トリコフィトンがどのように喘息病態にかかわっているかは明らかでない.今回われわれは,トリコフィトンへの職業性曝露が増悪に関与したと考えられた咳喘息の一例を経験したのでここに報告する.
全文記事
症例から学ぶ
トリコフィトンの職業性曝露が増悪の原因と考えられた咳喘息の一例
掲載誌
International Review of Asthma & COPD
Vol.13 No.1 27-30,
2011
著者名
中込 一之
/
永田 真
記事体裁
連載
/
症例
/
全文記事
疾患領域
呼吸器
/
アレルギー・免疫
診療科目
呼吸器内科
/
アレルギー科
媒体
International Review of Asthma & COPD
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。