State of the Art(Frontiers in Gastroenterology)
              
 p53シグナル伝達経路の活性化と癌治療への応用
                  掲載誌
                
 
                  Frontiers in Gastroenterology
                  Vol.18 No.4 12-23,
                  
                    2013
                  
 
                    著者名
                  
  
                          廣瀬充明
                        / 
                          遠藤慎治
                        / 
                          大和建嗣
                        / 
                          兵頭一之介
                        
 
                    記事体裁
                  
  
                          抄録
                        
 
                    疾患領域
                  
  
                          消化器
                        / 
                          癌
                        
                    診療科目
                  
  
                          消化器内科
                        / 
                          腫瘍内科
                        / 
                          放射線科
                        / 
                          消化器外科
                        
 
                    媒体
                  
 
                      Frontiers in Gastroenterology
                    
 [はじめに] 「ゲノムの守護神」と称されるp53は, 1979年に腫瘍ウイルスSV40の大型T抗原と結合する約53kDの蛋白質として発見され1), 30年以上経った現在もなお活発な研究対象となっている. 発見当初は癌細胞で高発現していることから癌遺伝子と考えられていたが, その後の研究によってp53遺伝子が癌抑制遺伝子であることが証明された2). p53遺伝子産物であるp53蛋白(p53)は, 細胞がDNA傷害を来す種々のストレスにさらされた際に, 細胞周期停止やアポトーシスを誘導し損傷された細胞を排除する. ヒトの腫瘍においては半数以上でp53の変異や欠失などの異常が確認されており, 転写活性を失った変異型p53が産生されている. 野生型p53は非常に不安定であるのに対し, 変異型p53は安定で, 腫瘍細胞内に大量に蓄積される. p53変異型ではp53シグナル伝達経路が正常に機能せず, 放射線や抗癌剤などの治療に抵抗性を示すと考えられている.
          ※記事の内容は雑誌掲載時のものです。