食道癌対策最前線
第5回 食道表在癌X線診断の最前線
掲載誌
Frontiers in Gastroenterology
Vol.17 No.2 48-56,
2012
著者名
今井裕
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
耳鼻咽喉科
/
放射線科
/
消化器外科
媒体
Frontiers in Gastroenterology
「はじめに」近年, 上部消化管造影検査は, デジタル化, さらに平面検出器(flat panel detector:FPD)やCアーム式の装置など新技術が搭載されたX線透視撮影装置が普及している. これらの撮影装置の進化のほかに, 造影剤の改良も加わり, X線でも上皮内癌を含めた食道表在癌は確実に描出されるようになった. これにより内視鏡的治療に必要な正確な病変の解剖学的な位置や伸展範囲, さらに腫瘍の深達度を診断することができる. 本稿では, 術前の精密検査を念頭においたX線造影検査による食道表在癌の診断について概説する. 「X線造影検査法」1.前処置ならびに前投薬 食道内には粘液がみられ, また嚥下時には唾液を一緒に呑み込んでしまうため, 検査前にはできるだけ痰や唾液を溜めずに口外へ出すのがよい1). 通常は胃の検査も行うため, 検査前には5~10分ほど安静に右側臥位で休ませる. これにより患者は, 気持ちを落ち着かせることができ, 胃酸の分泌なども抑えることができる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。