はじめに  胃カメラや大腸カメラを用いた軟性内視鏡治療は,小さなポリープの切除手技であるポリペクトミーから,局注を用いた内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)に発展し,現在では,軟性内視鏡専用の電気メスを用いた,消化管悪性腫瘍に対する究極の低侵襲治療である内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)へと発展した。ESDでは,要求される内視鏡技術(切開・剥離・止血)は,外科手術と同様に,数mm単位の高度な技術を要する。ESDを可能としたのは,ナイフや止血鉗子などのデバイスの開発と手術手技の確立(消化管壁の壁内解剖の理解)であった1)2)。食道・胃ESDは保険収載もされ,現在では早期食道癌・早期胃癌に対する確立した治療手技となった。管腔内の消化管壁内の剥離を特徴とするESDは現在もデバイスの開発は盛んで,日進月歩の領域であり,NOTESにも応用されている3)-8)。