<< 一覧に戻る

対談

サプリメントの意義

―消化管の健康とサプリメント―

渡邊昌彦渡邊昌

Frontiers in Gastroenterology Vol.16 No.2, 3-9, 2011

 不足している栄養素を補うのに欠かせないのがサプリメントです。しかし市場に多種多様な食の健康に関する商品が溢れています。サプリメントの定義もあいまいになってきて,選ぶことに注力してしまい,サプリメント自体の意義を見失いがちです。また,実際に身体に及ぼされる効果についてもいまだ不透明な部分が多いと思われます。

 そこで今回は,社団法人生命科学振興会理事長の渡邊昌氏にお越しいただき,サプリメントとの上手な付き合い方をお聞きしました。また,高齢者の機能維持から,癌予防の可能性の高い抗酸化作用までをも視野に入れ,病気にならない食事のとり方に至る,究極の健康長寿の食事法もお話しいただきました。

サプリメントのとらえ方-薬品・機能性食品・食品の真ん中に位置するもの

●渡邊昌彦(以下「司会」) 本日は,生命科学振興会理事長で食と健康に詳しい渡邊昌先生に,サプリメントに関する正確な知識と,消化管疾患(主に炎症性腸疾患と大腸癌)に対する影響を教えていただきたいと思います。
 まず,サプリメントとは正確にはどのようなものを指すのでしょうか。
●渡邊昌(以下「渡邊」) サプリメントというのはもともと補充をするものという意味です。栄養補助剤と日本語ではいわれており,ビタミンとかミネラルとか,栄養が足りないときに補うと,とても効果があるというものです。しかし,ビタミンCを多量に与えると風邪を予防できるというポーリングの研究があるように,サプリメントを過剰に与えると,栄養素としての機能以外にも機能があるということがいろいろ見つかるわけです。それは薬理効果のことが多いので,食薬区分で薬品と食品を2つに分けるのは難しい。生理的機能をまかなうものを栄養素,それ以上の薬理的機能を発揮するものを機能成分とするというのがよいと思います。通常の栄養以外の機能を求めたのが特定保健用食品の生まれた背景です(表1)。

機能成分で「これは効果あり」というものが一定以上含まれていたら,それは機能性食品として,「薬品・機能性食品・食品」と3つに分けるのがいちばんわかりやすいし,怪しげな「健康食品」は追放できるでしょう。
●司会 薬品と食品の間に機能性食品というカテゴリーを作ろうということですね。
●渡邊 サプリメントでよくいわれる機能に抗酸化作用がありますが,たとえば,レスベラトロール(resveratrol)は,目によいという説があります。それから,赤ワインに入っているポリフェノールは心臓によいという説もあるし,機能は実にさまざまです。
 加齢によって低下してきた機能をサプリメントを用いることによって最高レベルに引き上げ,最大の機能を維持しようという試みもあり,今注目されている物質の1つにDHEA(デヒドロエピアンドロステロン:dehydroepiandrosterone)があります。これはテストステロンになるので,元気が出るだろうと考えられているわけです。また,活性化ビタミンD3も最近注目されています。高齢者になっても,加齢によって低下してくるホルモン系を補えばもとに戻るかというのは,大きな仮説なのですね。しかし,チャレンジする人は多い。やはり短期的にはそれなりの効果が出てきます。
 しかし,老人の食生活でいちばん大事なのはやはりきちんと必要なエネルギーを摂るということなのです。私は,最低限,体重×0.3単位を摂るのが望ましいと考えています。1単位は,80kcalです。高齢になってくると食欲が落ちて1日600~800kcalしかとれない人がいっぱいいますね。食が進まないというのです。そういう人には,1本200kcal(2.5単位)ぐらいの栄養補助剤を1食1本ずつ飲ませると1日1,200~1,300kcalは摂れることになるため,それだけで元気になる人がたくさんいます。それはまさにサプリメント,栄養補助剤だと思います。
 ですから,サプリメントと一概にいいますが,ミニマムの栄養状態を補償する物質と,より高い機能を追求する物質は分けて考えた方がよいのではないかと思います。
●司会 それでは,私が子供のころ肝油というものがありましたが,あれも補助剤といえるということですね。
●渡邊 あれはビタミンAだから,補助剤ですね。
●司会 さきほどのビタミンCはどうなのですか。
●渡邊 ビタミンCは,壊血病を予防するためには,1日40~50mgでよいわけです。ところが,1日1,000mgぐらい飲むと風邪を予防できます。さらに3,000mgぐらい摂ると乳癌の治療効果があるという説もある。最近はさらに大量にビタミンCを与える抗癌療法も試みられています。そうすると,40~50mgのところは栄養学で扱うビタミンCですが,1,000mgとか3,000mgになってくると,機能栄養学で扱う範疇となります(表2)。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る