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臨床最前線

第54回 外科における日帰り手術成功のポイント

丹羽英記

Frontiers in Gastroenterology Vol.16 No.1, 72-77, 2011

はじめに
 1987年大阪大学第二外科でリサーチを終え,民間病院である多根総合病院に赴任し,24年目を迎えている。当時大阪大学第二外科の関連病院は国公立病院がほとんどで,病院経営の知識など全くなかったが,現きつこう会理事長である小川嘉誉先生の指導の下,外科手術から病院経営まで,数多くのことを学ばせていただいた。当初少なかった外科医も次第に増加し,現在では外科医不足が叫ばれる中,非常に外科医に人気のある病院となり,15名の外科スタッフに恵まれている。私の外科医人生の中で岐路になったのが,日帰り手術センターの設立であり,現在でも外科手術の約半数が日帰り手術(day surgery:DS)となっており,全国でも有数の症例数がある。この原稿ではDS成功のコツやいろいろな問題点について述べさせていただきたい。

日帰り手術とは

 DSには眼科や皮膚科などがおこなう局所麻酔下の手術と外科がおこなう腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパコレ)や鼠径ヘルニア手術などの,本来なら1週間程度入院が必要となる手術をDSでおこなう手術があるが,私が述べさせていただくのはもちろん後者のことで,同日退院(same day surgery)と1泊入院(在院時間が24時間以内)も含めた入院手術であることをご了承いただきたい。実際きつこう会グループの多根眼科記念病院では年間3,000件以上のDSをおこなっており,比較にならない豊富な症例数である。当院では1998年のDSセンター開設から現在までで約9,500件の症例数がある。

日帰り手術センター開設に向けて

 1998年に当院では急性期病院としての生き残りをかけて,とにかく平均在院日数を減らさなければならないこと,また手術患者増を目指してDSセンターのオープンを決定した。しかし新しいシステムを導入しようということは,麻酔科をはじめいろいろな部署との調整が大変であった。毎週準備会議を開き,今後の多根総合病院にとっていかにDSセンターが重要かを全部署に納得してもらった。このあたりが民間病院のフットワークの軽さでうまくいったが,国公立大病院ではなかなか各部署の協力が得られず,断念する施設が多いようである。特に麻酔科の協力はDSセンターには重要で,麻酔科の協力を得るため,麻酔医をDSセンター副部長とし,同じ方向に引き込むことで非常にスムーズに運営できた。

成功のコツ

 まずは経営者の理解である。日本の医療の特徴として,①技術料が低い,②入院単価が安い,③入院医療の自己負担額が比較的安い,などが挙げられる。したがって患者は一般的には入院を希望される場合が多い。病院経営者も空きベッドをつくるより,少しでも入院させておいた方が経営上メリットがあるじゃないかと考える。特にDPC病院ではこれが明らかで,当院におけるラパコレでのDPC点数と出来高との比較を図1に示すが,日帰り手術では出来高の方が明らかに高い点数となる。

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