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Journal Review

虚血性脳卒中/TIAにおけるピオグリタゾンの有効性

八木田佳樹

脳と循環 Vol.22 No.1, 93-97, 2017

一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)を含む虚血性脳卒中を発症した患者では,将来の心血管イベントの発症リスクが高い.インスリン抵抗性は2型糖尿病でよくみられる病態であるが,非糖尿病の虚血性脳卒中患者でも,その50%以上はインスリン抵抗性を有するといわれている1).インスリン抵抗性は高血圧,高血糖,高インスリン血症,脂質異常症,血管内皮機能障害と関連しており,心血管イベントのリスクとなり得る.インスリン感受性を改善させる方策として,運動,食事療法,減量の他に薬物療法がある.チアゾリジン系薬物はPPARγアゴニストであり,インスリン抵抗性を改善させる目的で用いられている.このクラスの薬剤であるピオグリタゾンは,2型糖尿病患者を対象としたPROactive試験において,脳卒中既往者の再発を抑制し得ることが報告されている2).本研究では,糖尿病とは診断されないがインスリン抵抗性を有する脳卒中/TIA患者において,ピオグリタゾンが将来の心血管イベントリスクを軽減させるかについて検討した.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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