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Journal Review

無症候性頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剥離術のランダム化比較試験

津本智幸

脳と循環 Vol.22 No.1, 89-92, 2017

脳梗塞は,米国で死亡原因の第5位,後遺障害を来たす原因の第1位となっており,年間80万人が発症,17万人が死亡,医療費は年間41億ドルに及ぶといわれている.
脳梗塞の中で,頭蓋外の頸動脈狭窄症が原因のものは20%にのぼる.Asymptomatic carotid atherosclerosis study(ACAS)やasymptomatic carotid surgery trial(ACST)において,60%以上の狭窄では早期の頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy:CEA)を勧める結果であった.しかし,近年のスタチン,抗血小板薬,高血圧の管理などの内科治療に加え,無症候性頸動脈狭窄症に対する外科治療に関しては議論が多い.また,embolic protectionを併用した頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting:CAS)に関しても,carotid revascularization endarterectomy versus stenting trial(CREST)によって,CEAに対する非劣性が証明されたが,この研究には症候性患者を多く含んでおり,無症候性患者のみを対象とした研究はなかった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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