わが国の脳卒中患者の年間死亡数はおよそ13万人で,その6割は脳梗塞が原因とされている.脳血管疾患による死亡は全死因の第4位であり,要介護の原因疾患として最も大きい割合を占めている1).超高齢社会を迎えた日本において,脳卒中医療の質のさらなる向上が望まれている.

脳卒中の救急医療は,急性期脳梗塞の治療として組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)静注療法の認可に加えて,rt-PA無効例や非適応例に対して血管内治療による再開通療法が認可され,さらに近年では5つの多施設無作為化比較試験(RCT)2)‐6)でその有効性が示され,特に虚血性脳卒中治療は急速な変貌を遂げつつある.その変化に併せて脳卒中治療システムも再構築していく必要があるが,本稿では特にそれらのシステムにおいて重要な役割を担う一次脳卒中センター(primary stroke center:PSC)と総合脳卒中センター(包括的脳卒中センター,comprehensive stroke center:CSC)の各々の施設の違いを中心に,脳卒中診療の医療システムに関して,米国およびわが国における取り組みについて概説する.