脳卒中の治療技術
Flow diverterを用いた脳動脈瘤治療
脳と循環 Vol.22 No.1, 65-68, 2017
大型・巨大動脈瘤は全動脈瘤の5~10%を占めており,10mm以上の大型動脈瘤の破裂率は年間4.37%,25mmを超える巨大動脈瘤では年間33.4%と非常に高率である1).治療として外科手術と血管内手術が行われているが,クリッピング術や母血管閉塞とバイパス術併用をはじめとする外科手術では侵襲性が高く,巨大動脈瘤に対する外科的手術の死亡率は5~22%との報告がある2).一方で従来のステント併用コイル塞栓術でも再開通が高率に生じることが知られており3)-5),大型・巨大動脈瘤における再開通率は7~26%との報告がある6)-9).このような症例に対する新たな治療デバイスとして開発されたのがflow diverterと総称されるステントである.Flow diverterは目の細かいメッシュ構造で,動脈瘤に流入する血行を制御することにより,動脈瘤の破裂や増大を防ぎつつ,母血管を温存するという画期的なデバイスである.本稿ではflow diverterの1つであるPipelineについて述べる.
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