「症例」53歳男性.
「主訴」言葉を発しない,右手足を動かさない.
「既往歴」両側精巣癌(35歳時に左側,50歳時に右側).ともに高位精巣摘除術と抗癌剤治療で再発なく,近医でフォロー中.
「家族歴」結合織病,心血管病,脳卒中の家族歴なし.
「生活歴」飲酒・喫煙なし.石材店経営.アレルギーなし.
「現病歴」某年4月X-3日から明らかな外傷などの誘因なく両側頸部の違和感,頭痛を自覚していたが,様子をみていた.X日11時に取引先へ運転し出かけた時は問題なかった.11時20分頃,目的地到着後より言葉を発さなくなった.まもなくして右上下肢脱力が出現し倒れたため,12時に前医へ救急搬送された.頭部MRI で左中大脳動脈領域の早期虚血性変化と左内頸動脈閉塞を認め,13時にアルテプラーゼ静注療法を開始した.神経症候の改善が得られず,緊急血管内治療適応を考慮し,14時58分に当院へ搬送された.