「SUMMARY」無症候性頸動脈狭窄症に対する積極的内科治療の有効性が注目されている今日において,高齢者に対する外科治療をどう捉えるかは重要な課題である.高齢者における一定のエビデンスはないものの,狭窄率,プラーク性状に加えて,生命予後に関与する全身疾患を考慮した上で外科的介入を行うべきである.これまでのエビデンスに加え,新しい知見を踏まえた上で,個々の症例に応じた判断を行うことが外科の立場において必要である.
「はじめに」頸動脈エコーやMRIなどの非侵襲的な画像診断の普及や,近年の超高齢社会への進展に伴い,高齢者の無症候性頸動脈狭窄症に遭遇する機会が増加している.近年の積極的内科治療(best medical treatment:BMT)の進歩により,無症候性頸動脈狭窄症に対するBMTの有効性が注目されている今日において1),高齢者の無症候性頸動脈狭窄症に対する外科治療をどのように捉えるかは重要な課題である.
「KEY WORDS」無症候性頸動脈狭窄症,頸動脈内膜剥離術(CEA),経皮的頸動脈ステント留置術(CAS),積極的内科治療,高齢者