脳卒中の治療技術
潜在性心房細動をいかに捉えるか?
掲載誌
脳と循環
Vol.21 No.1 63-68,
2016
著者名
宮﨑雄一
/
豊田 一則
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
脳血管障害
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
脳神経外科
/
神経内科
媒体
脳と循環
「塞栓源不明の脳塞栓症“ESUS”と潜在性心房細動の検出」脳梗塞のうち約1/4は適切な検索を行っても原因が特定できず,「潜因性脳梗塞(cryptogenic stroke)」と呼ばれてきた.近年,画像診断の進歩により病態の理解が深まり,潜因性脳梗塞の多くは塞栓性機序であると考えられ,「塞栓源不明の脳塞栓症(embolic stroke of undetermined source:ESUS)」という新たな疾患概念が提唱された1).ESUSの潜在的な塞栓源のうち,同定されていない心房細動(atrial fibrillation:AF)の占める割合は少なくないと考えられている.AFは心原性脳塞栓症の主要な原因の1つであり,非弁膜症性心房細動(non-valvular AF:NVAF)を有する人は,そうでない人の約5倍の脳梗塞リスクがある2).NVAF患者において抗凝固療法(用量を調整したワルファリン)は確立された治療であり,脳卒中リスクを2/3に減らす3).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。