[SUMMARY] rt-PA血栓溶解療法では, 迅速な治療開始を何より優先する. 発症4.5時間までは, 経過時間と早期虚血変化の出現様式から残存脳血流を推定する. 発症4.5時間以降は, 救済可能組織の有無で治療適応を判断する. 現在, MRI拡散強調画像と灌流強調画像の差異(ミスマッチ)を用いた試験が実施されており, 新規血栓溶解薬の開発も進んでいる. Tissue-based strategyの確立が, 今後の脳梗塞治療研究のトレンドとなろう.
「はじめに」 組織プラスミノーゲンアクチベーター(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)による血栓溶解療法は, 科学的に有効性を証明された脳梗塞治療法である. この治療はまさに時間との闘いであり, 必要最低限の検査から迅速に適応を判断することが何より優先される. 一方, 脳神経機能は脳血流による酸素とブドウ糖の絶え間ない供給に依存しており, 脳血流の評価は症例個々の病態把握に大きく寄与する.