【特集 抗血栓療法と出血性合併症】
抗血栓療法と消化管出血
Anti-thrombotic Therapy and Gastrointestinal Bleeding
掲載誌
脳と循環
Vol.19 No.2 49-52,
2014
著者名
山本貴嗣
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
消化器
/
脳血管障害
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
心臓血管外科
/
脳神経外科
/
消化器内科
/
神経内科
/
老年科
媒体
脳と循環
「SUMMARY」 アテローム血栓症の予防に用いられる低用量アスピリンは消化管粘膜傷害作用があり, 潰瘍や出血を来たしやすいため注意が必要である. 低用量アスピリンによる粘膜傷害を防ぐために, 患者の消化管リスクを評価した上で予防策を検討する. 他の抗血小板薬は, 単独ではアスピリンほど消化管傷害のリスクは高くないが, アスピリンとの併用時に消化管出血を来たしやすい. ワルファリンは相互作用を来たすことが多く, 併用薬や食物に注意が必要である. 消化管出血は薬効が基準を超えて増強している時に起きやすい. 新しい経口抗凝固薬はワルファリンより安全性が高く使いやすいが, 重篤な消化管出血も報告されているため留意する. 「はじめに」 近年わが国は世界に類を見ない速さで高齢社会を迎えており, 心筋梗塞や脳血管疾患などのアテローム血栓症が増加傾向にある. その予防目的に, 低用量アスピリン(以下, LDA)などの抗血小板薬を服薬する患者が増加しているが, 同時に副作用として消化管出血や粘膜傷害が問題となっている1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。