【特集 抗血栓療法と出血性合併症】
抗血小板療法と頭蓋内出血
Intracranial Hemorrhage during Antiplatelet Therapy
掲載誌
脳と循環
Vol.19 No.2 27-31,
2014
著者名
長尾毅彦
/
内山 真一郎
記事体裁
抄録
疾患領域
高血圧
/
脳血管障害
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
脳神経外科
/
神経内科
/
老年科
媒体
脳と循環
「SUMMARY」 抗血小板療法に伴う頭蓋内出血は, 欧米人に比較して, われわれアジア人では高頻度に発症するといわれている. 最近の研究では, 急性期に限定すればアジア人であっても, 抗血小板薬2剤併用でも頭蓋内出血は増えないことが指摘されている. 一方慢性期では, 抗血小板薬2剤併用は明らかに頭蓋内出血を増加させる. 単剤投与であっても, ラクナ梗塞に対するアスピリンは頭蓋内出血の頻度が高いことが明らかとなっているために, 症例選択には慎重な判断が求められる. 特に頭蓋内微小出血合併例は注意が必要である. 抗血小板療法に伴う頭蓋内出血回避のための大前提は血圧の厳格な管理であり, 高低だけでなく安定化も重要な要素となる. 「はじめに」 抗血栓療法に伴う頭蓋内出血は, 昔も今も, われわれ日本人にとっては宿命ともいうべき大きな課題である. 抗血小板療法についても, 欧米人と同等の強度で治療を行っても, 慢性期には2倍近い頭蓋内出血を来たした大規模臨床試験が複数報告されている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。