【特集 治療可能時間の延長に挑む】
(座談会)ペナンブラと治療可能時間の昨日・今日・明日
掲載誌
脳と循環
Vol.17 No.2 11-18,
2012
著者名
峰松 一夫
/
豊田 一則
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佐々木真理
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坂井 信幸
記事体裁
抄録
疾患領域
脳血管障害
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
手術・救急
/
放射線科
媒体
脳と循環
「ペナンブラの概念と画像化の問題点」峰松(司会) 近年, ペナンブラの画像化をもとに急性期脳梗塞の治療可能時間をできるだけ延ばそうという機運が急速に高まり, 組織プラスミノゲン活性化因子(tissue plasminogen activator: t-PA)療法も発症3時間以内から4.5時間以内へとする治療時間の延長が試みられています. そこで, 今回は「ペナンブラと治療可能時間の昨日・今日・明日」というテーマで討議したいと思います. まず, このペナンブラの概念について, 豊田先生に解説をお願いします. 豊田 ペナンブラの本来の意味は, 日蝕・月蝕時の半影あるいは太陽黒点周囲の半影部のことで, これが医学用語に転用されてX線画像の半影・明暗の境, 脳の可逆的虚血領域, また最近では血栓回収器具の名称(Penumbraシステム)に使われるようになりました. 1950年代にはX線画像の領域ではペナンブラという言葉をすでに用いており, 脳の領域ではAstrupが1977年および1981年に「局所脳虚血により脱分極に陥った虚血中心部(コア)の周囲に存在する, 脱分極していないが電気活動が抑制されている領域」をischemic penumbraと提唱し, 1994年にはHossmannが「Electrical failureの閾値とmembrane failureの閾値を, 各々血流の上限, 下限とする.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。