はじめに  脳卒中後の痙縮を伴う上下肢の麻痺は,脳卒中患者の機能障害を惹き起こすとともに,更衣や歩行などのADLを低下させたり,患者の姿勢やコスメティックな面にも悪影響を及ぼすため,適切な治療が必要となる.2010年10月にボトックスの上肢および下肢の痙縮に対する使用が追加承認され,脳卒中患者の上下肢筋緊張コントロールに新たな治療手段が加わった.本稿では,ボトックスを用いた脳卒中患者の上下肢筋緊張亢進に対する治療の適応,その効果および注意点について述べる.