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他科専門医からみた脳卒中

リハビリテーション科からみた脳卒中

Management of Stroke Rehabilitation

小田太士蜂須賀研二

脳と循環 Vol.16 No.2, 49-53, 2011

SUMMARY
 医療情勢の変遷に伴い,リハビリテーション医療も機能分化が進み,1病院完結型ではなく,地域の病院や施設をまたぐ地域完結型医療へ転換しつつある.発症からの病期に応じて,急性期,回復期,維持期の3つに大別され,それぞれで機能障害,活動制限,参加制約・背景因子に分別した問題点に対してリハビリを行う.近年では,急性期から維持期までの連携を密にし,シームレス医療かつ包括的アプローチが必要とされる.

KEY WORDS
脳卒中 リハビリテーション 急性期 回復期 維持期

はじめに

 現在,日本は老齢人口比率23.1%と超高齢化社会に突入し,脳卒中発症も増加傾向にあり,年間約12万人が死亡している.近年,脳卒中後,約80%が片麻痺などの後遺症を有し,そのうち日常生活動作(activitiesof daily living:ADL)が自立する者は40%に過ぎず,寝たきり状態や介護を必要とすることが多くなる.日本の全世帯のうち約85%は単独世帯あるいは核家族であり,さらに未曾有の不況の煽りを受け,孤独死や老々介護問題がマスコミなどで取り出されることが多い.
 近年,医療情勢は目まぐるしく変化し,リハビリテーション(以下,リハ)医療も機能分化が進み,1病院完結型ではなく,地域の病院や施設をまたぐ地域完結型医療へ転換しつつある.
 脳卒中後のリハ医療は,発症からの病期に応じて急性期,回復期,維持期の3つに大別され,それぞれで機能障害,活動制限,参加制約,背景因子に分別した問題点を列挙し,それぞれに対してアプローチを行う(表1).

 2008年の診療報酬改定により,脳卒中が「地域連携診療計画管理料」の算定に組み込まれたことで,全国各地で脳卒中地域連携パス(以下,パス)の導入に拍車をかけた.パスは,脳卒中治療を担う急性期から維持期の医療機関と,診療経過ならびに目標設定などを共有することで連携を密にし,シームレス医療かつ包括的な連携を構築することを目的としている.

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