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糖尿病と脳卒中
脳血管障害と糖尿病―疫学的立場から
掲載誌
脳と循環
Vol.15 No.2 19-23,
2010
著者名
土井康文
/
清原裕
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
糖尿病
/
脳血管障害
診療科目
一般内科
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脳神経外科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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神経内科
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老年科
媒体
脳と循環
「SUMMARY」 世界各地のコホート研究によれば, 糖尿病により脳卒中(脳梗塞)のリスクは2~5倍上昇する. 福岡県久山町の追跡調査では, 75g経口糖負荷試験で判定した糖尿病において, 脳梗塞の発症リスクが男女で約2倍有意に高かったが, impaired fasting glycemiaおよびimpaired glucose toleranceではこの関連は認められなかった. 一方, メタボリックシンドロームを合併した糖尿病では, 脳梗塞のリスクが相乗的に上昇した. 「はじめに」 1950年代から1960年代にかけてわが国の脳卒中死亡率は世界で最も高かったが, 1970年代より降圧治療の普及とともにその死亡率は減少傾向に転じ, 1990年代に入り欧米先進諸国と肩を並べるまでになった. 一方, 国民の生活レベルの向上とともに食生活を含めた生活習慣が欧米化し, 肥満や脂質異常症とともに糖尿病が急速に増加しており, 脳卒中(脳梗塞)に与える影響も増大していると考えられる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。