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脳循環障害の画像診断

両側内頸動脈閉塞をきたし,病巣が進行性に拡大した1例

吉村壮平髙田達郎峰松一夫山口武典

脳と循環 Vol.11 No.3, 61-64, 2006

[はじめに] 両側内頸動脈閉塞により境界域梗塞(borderzone infarction:BZI)を発症し, その後, 病巣が進行性に拡大した症例を経験した. BZIの発生機序や治療方針を考える上で重要な症例と考えられた. [症例] 男性, 78歳, 右利き. [主訴] 呼びかけに反応しない. [既往歴] 67歳時に高血圧を指摘され, 加療開始. [生活歴] 飲酒, 喫煙なし. アレルギーなし. [家族歴] 特記事項なし. [現病歴] 77歳時に左下肢深部静脈血栓症の診断で当センターに入院し, ワルファリン投与を開始された. 入院時の頸部血管エコー検査で, 左内頸動脈(internal carotid artery:ICA)閉塞, 右ICA高度狭窄(面積比狭窄度95%, 最大血流速度6.4m/秒)と診断された. MRAでは, 左ICAの描出はなく, 左中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)は前交通動脈を介して右ICAから灌流されていた. Positron emission tomography(PET)では, 右MCA領域の一部で脳血流量(cerebral blood flow:CBF)低下と酸素抽出率(oxygen extraction fraction:OEF)の上昇, すなわちStage II(misery perfusion)の状態を呈していた(図1). 以上より, 外科的治療の適応と判断されたが, 患者の強い希望により外科的治療は断念し, 降圧薬の内服中止と抗凝固療法の継続による経過観察となった. 78歳時に自己判断でワルファリン内服を中止し, その4週間後にトイレで倒れているところを発見され, 当院に救急搬送となった. [入院時現症] 身長160cm, 体重64kg, 体温35.2℃, 脈拍80bpmで整, 呼吸18回/分, 血圧170/98mmHgであった. 意識はJCS-200で, 右向きの共同偏視を認めた. 瞳孔は正円同大, 対光反射の遅延を認めるも, 角膜反射は保たれていた. 眼振はなかった. 顔面神経にも左右差はなかった. 両側上下肢は痛み刺激で屈曲逃避反応を示した. 両側バビンスキー反射が陽性であった. National Institutes of Health stroke scale(NIHSS)スコアは28であった.

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