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特集4 術後合併症と癌転移・再発

2.術後合併症と予後との関連─炎症による局所抗腫瘍免疫系の変化─

Relationship between postoperative complications and prognosis --Variations of local anti-tumor immune system by inflammations--

有上貴明上之園芳一夏越祥次

Surgery Frontier Vol.22 No.4, 81-85, 2015

「Summary」近年,手術手技や周術期管理の向上により,術後合併症の頻度は減少してきているが,感染性の術後合併症を併発すると長期的には再発リスクを高め,予後不良の要因となる。この詳細なメカニズムについては不明な点も多いが,最近では術後合併症にともない引き起こされた炎症が宿主の免疫機能に影響を与え,抗腫瘍免疫機能が抑制されることで術後に遺残した微小な癌細胞が増殖し,再発や予後に影響を及ぼしているのではないかと考えられている。これまでの免疫担当細胞に関する報告では,単球のHLA-DR発現低下にともなう抗原提示機能の障害や,T細胞のTh1/Th2バランス異常あるいは制御性T細胞の増加にともなうサイトカインバランスの破綻などが原因として挙げられており,今後もさらなる検討が必要である。また,新たな抗腫瘍免疫系のメカニズムが関与している可能性も高く,基礎的な研究結果に基づいた最新の知見が実地臨床の現場に反映されていくことが望まれる。
「Key Words」術後合併症,抗腫瘍免疫機能,HLA-DR,Th1/Th2バランス,制御性T細胞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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