血液の悪性疾患で癌細胞にもヒエラルキーがあるとの考えが提唱されて約20年が経つ。悪性疾患のおおもとにある細胞は癌幹細胞と呼称され,固形癌でも癌幹細胞研究が盛んに行われるようになってきた。癌幹細胞研究は主に発生学的な基礎的面からの興味と抗癌剤耐性に関する臨床的面からの興味により,ますます盛んになってきている。他方で,これまで癌幹細胞はヒエラルキーの最上位にあり,その進展は1方向性と考えられていたが,娘細胞から癌幹細胞への先祖返りがありうるとの悪性黒色腫での研究成果の報告により,発生から進展の過程が混沌としてきている。また,癌幹細胞の浸潤・転移における役割と上皮間葉転換(EMT)の関連に関する研究や,幹細胞性の維持に重要な周囲環境(ニッチ)の研究については総じて遅れているように思う。
特集3 癌幹細胞
特集によせて
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.22 No.4 55,
2015
著者名
森 正樹
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
/
代謝・内分泌
診療科目
消化器内科
/
消化器外科
/
放射線科
/
一般外科
/
腫瘍内科
媒体
Surgery Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。