「Answer」
「EpCAMとは?」肝細胞癌に対して有効性の証明された分子標的阻害薬は,マルチチロシンキナーゼ阻害薬であるソラフェニブのみであり1),分子的基盤を背景とした新規治療開発が喫緊の課題である。EpCAM(上皮細胞接着因子:epithelial cell adhesion molecule,別名:CD326,ESA,EGP-2,TROP-1)は細胞膜表面に存在する分子量40kDaのⅠ型glycoproteinであり,上皮細胞および消化管腫瘍表面に発現する分子である2)。その機能はカルシウム非依存性細胞接着分子であるが,細胞膜表面に存在するTACEにより,細胞外ドメインと細胞内ドメインに切断され,細胞内ドメインがWnt/β-catenin経路と共同し核内へ移行,転写因子として細胞内シグナル伝達,細胞遊走,細胞増殖と分化の制御に重要な遺伝子発現を促し,発癌や癌の進展に重要な役割を果たしている3)4)。