「はじめに」腸内には膨大な数の共生細菌群,腸内細菌叢が存在している。ヒトの大腸では最大で1兆個/mL,総数にして100兆個を超えると言われている1)。腸内細菌叢は通常,宿主との相互作用のバランスを保って共生しており,いわゆるsymbiosisという状態にあるが,宿主の遺伝的背景や偏食などの要因からバランスを崩すとdysbiosisという状態に陥り,さまざまな病態形成に関与すると言われている(図1)2)。近年,非アルコール性脂肪性肝炎(non alcoholic steatohepatitis:NASH)の病態が腸内細菌叢と強く関連しているとの報告が多い2)-4)。非アルコール性脂肪性肝疾患(non alcoholic fatty liver disease:NAFLD)は,過食,肥満,運動不足などのカロリー余剰状態から惹起される5)。しかし,どうして単純性脂肪肝に対して炎症細胞の浸潤をきたしNASHを惹起するのであろうか。
「Key Words」NASH,腸内細菌,leaky gut症候群,bacterial translocation,プロバイオティクス
「Key Words」NASH,腸内細菌,leaky gut症候群,bacterial translocation,プロバイオティクス