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第86回常在細菌叢の解析と治療的応用 メタボロゲノミクスによる腸内細菌叢の機能理解
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.22 No.3 54-57,
2015
著者名
福田真嗣
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
消化器
/
アレルギー・免疫
/
膠原病・リウマチ性疾患疫
/
感染症
/
癌
診療科目
リウマチ科
/
消化器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
メタボロゲノミクスとは,腸内代謝物質を網羅的に解析するメタボロミクスと,腸内細菌叢遺伝子を網羅的に解析するメタゲノミクスとを組み合わせた研究アプローチである。われわれの腸管内には多種多様な腸内細菌が生息しており,それら腸内細菌叢が宿主腸管細胞と相互作用することで,異種生物で構成される複雑な腸内生態系,すなわち腸内エコシステムを形成している。腸内エコシステムは通常はヒトの健康維持に寄与しているが,そのバランスが崩れると,大腸癌や炎症性腸疾患といった腸管関連疾患のみならず,自己免疫疾患や代謝疾患といった全身性の疾患につながることも報告されている(図1)1)。したがって,腸内細菌叢を異種生物で構成されるひとつの臓器として捉え,その機能を理解し制御することが,疾患予防・健康維持における新たなストラテジーとして重要と考えられる。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。