「Summary」B型肝炎はワクチン接種が任意に行われているが,現在でも水平感染が確認されている。ワクチンは,Genotype A由来のものとC由来のものがあるが,わが国では慢性化しやすいGenotype Aが水平感染で増加している。肝炎マーカーが陽転化するまでにはタイムラグがあり,ウインドウ期間と呼ばれる。ウインドウ期間を短縮させるためのNAT検査が行われている。針刺し時の対応は2013年にCDCで改定がなされ,ワクチン投与法も改訂されている。ウイルス再活性化は,免疫抑制療法や抗悪性腫瘍療法で起きうる。再活性化予防のガイドラインでは全例でスクリーニングを行い,モニタリングや予防投与を推奨している。B型肝炎に関しては,水平感染のみならず,既感染者における再活性化・de novo肝炎の問題がある。劇症化した再活性化・de novo肝炎は予後不良であり,日常臨床上,常に念頭に置く必要がある。
「Key Words」HBV,Genotype A,NAT,針刺し事故,de novo肝炎