特集 危惧する感染症─院内感染防止対策─
1.薬剤耐性緑膿菌感染症の制御
Infection control of drug-resistant Pseudomonas aeruginosa
Surgery Frontier Vol.22 No.3, 9-12, 2015
「Summary」薬剤耐性緑膿菌(特に多剤耐性緑膿菌)は環境汚染や消毒・滅菌の不十分な医療器具などによって院内感染が起こりやすい。国内全体とすると増加傾向ではないものの院内伝播によるアウトブレイク事例の報告は相次いでおり,診断の複雑さ,治療薬の選択の乏しさ,院内伝播抑制の困難さ,の3つの問題により患者の予後が悪化してしまう。緑膿菌は環境から分離されても院内感染の原因かまたは結果か区別できず,伝播におけるスタッフの手指衛生の重要性の認識をむしろ減弱させる可能性もある。アウトブレイクを避けるためには,その端緒を早期に察知できる体制であること,および,手指衛生と環境整備そのものだけでなく,それらのレベルを保つための護業務の管理まで含めた感染制御を実践する必要がある。
「Key Words」薬剤耐性緑膿菌,多剤耐性緑膿菌,メタロ-β-ラクタマーゼ,院内感染アウトブレイク,病院環境
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。