【特集 癌と微小環境】
Ⅰ.癌の微小環境とは~最新の知見~ 癌の微小環境を構成する間質線維芽細胞の起源と生物像
Origin and biological characterization of stromal fibroblasts constituting cancer microenvironment
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.21 No.2 15-19,
2014
著者名
落合淳志
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
診療科目
一般外科
/
呼吸器内科
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消化器内科
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血液内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Summary」癌組織は癌細胞と線維芽細胞, マクロファージ, 炎症細胞などさまざまな細胞から構成され, 癌細胞との相互作用により癌に特徴的な微小環境を形成している. なかでも間質細胞の主体である線維芽細胞は, 癌関連線維芽細胞として腫瘍生着・増殖・進展に重要な役割を果たしていることが報告され, 注目されている. 癌間質線維芽細胞は多彩な起源を有しており, 一部は骨髄由来, 血管外膜由来そして臓器由来の線維芽細胞からなる. 癌関連線維芽細胞は癌細胞の生着や増殖転移に深くかかわっていることを動物モデルやヒト切除材料の検討から明らかになっている. また, 間質線維芽細胞は, 癌細胞以上にさまざまな増殖因子や血管新生因子を産生分泌するが, その多くは不活性化されており, 癌細胞との相互作用で活性化することにより癌組織における特異的な血管新生が説明されることが明らかとなった. 本稿では, 癌組織を構築する間質線維芽細胞の起源と生物学的機能について概説する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。