【特集 再生医療技術の新展開】
Ⅰ.現在実現化に最も近い,外科領域における再生医療研究 細胞シートを用いたESD後食道再生
Post-ESD esophageal regeneration by cell sheets
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.21 No.1 49-53,
2014
著者名
大木岳志
/
大和 雅之
/
岡野 光夫
/
山本雅一
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
/
再生医療
診療科目
消化器内科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Summary」 われわれは, 細胞シートによる食道上皮再生医療研究を進めてきた. すでに2008年より臨床研究を開始し, 本学で10症例経験し報告してきた. 本法は, 患者の口腔粘膜組織から口腔粘膜上皮細胞シートを作製し, 早期食道癌の内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection : ESD)後の潰瘍面に経内視鏡的に細胞シートを移植することで, 潰瘍の創傷治癒を促し食道狭窄を抑制させるという方法である. 口腔粘膜上皮細胞シートは, 温度応答性培養皿を用いることで, 細胞シート底面に細胞外マトリックスを損傷することなく1枚の細胞シート状に回収でき, 縫合することなく潰瘍面に移植することができる. 現在, 国内では長崎大学と共同で, 空輸で搬送した口腔粘膜上皮細胞シートを用いた臨床研究を開始しており, 他施設でも行えるようなシステム作りを構築中である. 「はじめに」 iPS細胞研究が進むなか, すぐにヒトに移植できるような臓器を作製できるわけではなく, iPS細胞を使用しない外科領域における再生医療研究においても臨床応用に至った研究は少ない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。