What's New in SURGERY FRONTIER
第79回細胞周期の最新知見 癌と染色体分配機構
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.4 66-69,
2013
著者名
進藤軌久
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
診療科目
一般外科
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呼吸器内科
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脳神経外科
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整形外科
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産婦人科
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消化器内科
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形成外科
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皮膚科
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泌尿器科
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血液内科
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耳鼻咽喉科
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腫瘍内科
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消化器外科
媒体
Surgery Frontier
[癌細胞の多様性] 癌の治療が難しいのは, 腫瘍内にある癌細胞の多様性が高く, 抗癌剤の効果が異なる多種多様な癌細胞が存在するためであり, すべての癌細胞を一網打尽に死滅させることが難しいからである(図1A). さらに厄介なことに, その多様性は変化しうるものであり, 常に新しい性質の癌細胞が生まれる可能性がある. なぜ, 癌細胞の多様性は高いのか? そして, それはなぜ変化しうるのか? 癌細胞の染色体数が正常細胞とは異なるということは, 古くから知られている. 癌細胞の染色体数は変動しやすく(図1B), 増殖していく過程でさまざまな染色体数の癌細胞が生み出されていく. さらに, 染色体の構造も転座, 逆位, 欠失や組換え, あるいはクロモスリプシス(chromothripsis: 染色体の粉砕と再構成)(図1C)1)などにより変化する. この染色体の数や構造の変化しやすさ=染色体不安定性が, 癌細胞の多様性の高さ, ひいては悪性度の高さに寄与していると考えられている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。