【特集 細胞とヒトの多様なストレス応答】
Ⅱ.ヒトのストレス応答 社会疫学からみたストレッサーとストレス反応
Stressor and stress reaction from the social epidemiological perspective
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.4 47-51,
2013
著者名
岡田栄作
/
近藤克則
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
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精神疾患
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癌
診療科目
一般外科
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心臓血管外科
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整形外科
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産婦人科
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泌尿器科
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耳鼻咽喉科
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心療内科
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精神科
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消化器外科
媒体
Surgery Frontier
[Summary] 死亡リスクが低所得男性で3.5倍など, 罹患から早期診断率, 治療内容, 死亡率まで, 社会経済的階層が低い者ほど不利となる健康・医療格差がある. このような健康状態を規定する社会経済的な要因を「健康の社会的決定要因」と呼び, その影響と健康格差の大きさが無視できないことが明らかにされ, 厚生労働省も「健康格差の縮小」を政策目標に掲げるようになった. 生物学的な反応を引き起こすストレッサーにも, 生物学的なものだけでなく社会的・心理的なものがある. 慢性的な貧困や社会的サポートがほとんど得られない孤立状態は, 強いストレッサーとなり, 社会的な弱者ほど不健康となる健康格差を生み出す一因となっている. 対策として, 個人レベルでは, 患者会などを通じて社会的サポートを豊かにし, ストレス対処能力を高めること, 社会レベルでは, 低所得者の受診抑制を招かないよう社会保障を拡充するなど, 総合的な社会政策が必要である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。