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特集 肥満の基礎と臨床

Ⅰ.肥満の基礎 肥満症例における腸内細菌叢の変化

羽田裕亮門脇孝

Surgery Frontier Vol.20 No.3, 39-43, 2013

「Summary」近年, 世界中で肥満症の患者が増加しており, 肥満症が原因となる2型糖尿病やメタボリックシンドローム, 虚血性心疾患などの疾患への対応が急務となっている. 人間の腸内細菌叢はFirmicutesやBacteroidetesを中心としたさまざまな細菌からなっているが, 腸内細菌叢は免疫・胃腸の運動・薬物代謝・腸の発達などに関与しており, 食物中の毒素や発癌性物質の代謝, 微量栄養素の代謝, 電解質やミネラルの吸収の補助など生体の活動に深く影響している. 正常な腸内細菌叢は病原菌の繁殖を抑制するのにも役立っている. 腸内細菌叢の組成は遺伝的な要素もかかわってくるが, 食生活によっても変化することが知られている. 肥満者ではBacteroidetesが少なくFirmicutesが多くなっているが, 食事制限による体重減少後にはBacteroidetesとFirmicutesの比がやせの人に近づいている. また, 肥満外科手術も腸内細菌叢の組成にかかわってくる. 将来的に, 腸内細菌叢に働きかける食品や薬物が見出され減量治療に用いられる可能性もあり, 今後の研究に注視したい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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