【特集 肥満の基礎と臨床】
Ⅰ.肥満の基礎 肥満症例における構成脂肪細胞の変化
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.3 21-30,
2013
著者名
杉原甫
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青木茂久
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末崎幸生
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
一般内科
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循環器内科
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消化器内科
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腎臓内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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老年科
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小児科
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消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Summary」脂肪細胞は貯蔵に有利な球形となって栄養を貯める. それらのあいだを小血管が走る. この脂肪細胞が過度に摂食すると肥大してくる. このとき, 脂肪細胞はどのようなかたちを採るのか. 脂肪細胞が肥大して, 限られた体内で(特に腹腔内)密に存在するには, 多面体を採る. われわれの観察ではβ14面体である. これは, 上下の2個の四角形に, 4個ずつ五角形が付き, あいだを4個の六角形が埋める. そうなると, 生体血管量への影響が起きる. 隙間なく密に接した脂肪細胞のあいだの小血管は, 脂肪細胞から強く圧迫されて内腔が狭まる. これは血圧が上がるひとつの理由であろう. さらに, 脂肪細胞は, 虚血に陥る. これは, 脂肪細胞のサイトカイン産生に影響を及ぼす. アディポネクチン産生低下はその最悪の現象であり, 動脈硬化症を引き起こし, 心筋・脳梗塞へ進展するという, まさにメタボリック・シンドロームの基礎病態となるのである.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。