腫瘍をめぐるQ&A
Question アスピリンの癌転移抑制について
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.2 120-122,
2013
著者名
関本貢嗣
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池田正孝
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池永雅一
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三宅正和
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原口 直紹
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
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癌
診療科目
一般外科
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消化器内科
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腫瘍内科
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消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Answer」アスピリンを長期服用している患者で, 特に大腸癌の発生や転移, 死亡率の減少が認められることを, 多くの疫学調査, randomized study, cohort研究などが報告してきた. Rothwellらは, たとえ少量であっても毎日アスピリンを服用することで大腸癌になるリスクを24%減少させ, 8~10年後の大腸癌による死亡率を35%減少させると報告した. 大腸癌の発生を抑えるだけでなく進行癌に投与すると転移を抑制することも示した1)2). BurnらはLynch症候群の患者において, アスピリンとplaceboを用いた無作為比較試験を行い, 2年間アスピリンを服用した場合のhazard ratio 0.41(0.19-0.86, p=0.02)と, 大腸癌発生数の顕著な抑制効果を証明した3)(図1). その作用機序について, 最近Liaoらはアスピリンによるphospatidylinositol 3-kinase(PI3K)シグナル伝達経路の抑制が重要である可能性を示したので紹介する4).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。