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第77回ゲノム医学の新情報 Ⅰ.ゲノムワイド関連解析による疾病関連遺伝子の同定 ケロイド
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.2 66-75,
2013
著者名
中島光子
/
前佛均
記事体裁
抄録
疾患領域
皮膚疾患
診療科目
形成外科
/
皮膚科
媒体
Surgery Frontier
「はじめに」ケロイドは外傷を契機に発生する増殖性皮膚病変であり, 外傷後の創傷治癒の障害に起因すると考えられているが, いまだその発生機序は明らかとなっていない. ケロイドは局所の感染や機械的刺激などの環境要因が誘因となるとともに, 人種間での発症頻度差や家系発症例の報告などから遺伝的要因が大きく関連している可能性が高い多因子疾患(multifactorial disease)であると考えられている1). ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)は多数の遺伝的多型の組み合わせによって引き起こされる多因子疾患の解析に非常に有用である2). 本稿ではケロイドのGWASの結果について概説する3). 「ケロイドのGWAS」本解析では, バイオバンクジャパン4)から提供された日本人ケロイド症例(case)824例と日本人非ケロイド症例(control)3,212例のDNAを用いてGWASを行った.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。