腫瘍をめぐるQ&A
Question PKM2はβcateninの転写を制御する
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.1 90-93,
2013
著者名
浜部敦史
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今野雅允
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山本 浩文
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土岐 祐一郎
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森 正樹
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石井 秀始
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
診療科目
一般外科
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呼吸器内科
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脳神経外科
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整形外科
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産婦人科
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消化器内科
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形成外科
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皮膚科
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泌尿器科
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耳鼻咽喉科
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腫瘍内科
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消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Answer」ピルビン酸キナーゼ(PK)は, 解糖系の最終段階(ホスホエノールピルビン酸+ADP→ピルビン酸+ATP)を触媒する代謝酵素である. PKの遺伝子からは選択的スプライシングにより2つのアイソフォーム(PKM1, PKM2)を生じる(表1). 成人の正常分化細胞ではほとんどがPKM1であるが, 胎生期の細胞と癌細胞では多くがPKM2にシフトしている. ところで, 癌細胞内ではWarburg効果という特殊な解糖システムが営まれていることが1930年頃から知られており, 正常酸素分圧下においても細胞内では嫌気的解糖経路が優位に働き, ピルビン酸は主に乳酸へと代謝されている. 2008年になり, Warburg効果を維持するためにPKM2が必須であること, またPKM2はペントースリン酸回路(PPP)を亢進させて腫瘍増大に必要となる細胞構成成分を産生していることが解明され, 癌代謝におけるPKM2の重要性に注目が集まることとなった1)2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。