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特集 癌関連のノーベル賞1(方法の発見・発明編)

甲状腺の生理学,病理学および外科学的研究(1909年)

内野眞也

Surgery Frontier Vol.20 No.1, 49-55, 2013

「Summary」Theodor Kocher(1841~1917)は, 31歳という若さでスイス・ベルン大学外科教授となり, その後45年間教授を務めた. 彼はさまざまな外科分野において膨大な業績を残し, 手術手技や手術器具に今もその名を残す. 彼の外科技術は繊細かつ精緻で, 研究においては基礎医学知識に基づいた外科的研究を継続し, 数多くの発見や発明を成し遂げた. 当時の黎明期にある甲状腺外科技術では手術死亡率は高率であったが, Kocherはそれを克服し, 甲状腺外科学における指導的, 中心的役割を果たした. 「甲状腺の生理学, 病理学および外科学的研究」に対して, Kocherは外科医として初めてのノーベル生理学・医学賞受賞者となった(1909年). 当時は甲状腺の生理的役割は謎に満ちている時代であった. しかし, 彼の研究により甲状腺全摘後に甲状腺機能が喪失すると代謝や成長が停止することが明らかとなり, 内分泌臓器としての甲状腺の役割が認識されることとなった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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