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特集 癌関連のノーベル賞1(方法の発見・発明編)

血管縫合および臓器の移植に関する研究(1912年)

井上裕森正樹

Surgery Frontier Vol.20 No.1, 45-47, 2013

Alexis Carrelの名前を挙げて, いったいどれくらいの先生がご存じであろうか? 今回ノーベル賞と外科あるいは癌の特集を組むにあたって, 最も初期のノーベル賞受賞者の一人がCarrelなのであるが, 若い外科医にはおそらくほとんど未知の名前であろう. Carrelはフランスの外科医であり, 血管吻合法を考案したことで知られる. そして, その技術をもって20世紀初頭に臓器移植を開拓したパイオニアである. このように書くとそんな時代の臓器移植?免疫学も未熟で免疫抑制剤もない時代に?血液型さえ知られていない時代に?麻酔法もまだ未開拓だったはずなのに?Teodor Billrothが胃癌の胃切除を成功させたのが1881年のことであり, まだまだ外科学も暗中模索, 黎明期だったはずなのに?……次々と疑問が湧いてくるのは無理のない話である. しかしながら, さすがはノーベル賞である. この外科学の黎明期におけるCarrelの業績は今振り返ってみても全く遜色ないのである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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